正しく知って意識しよう「腸と肥満の関係」

肥満には、食べ過ぎや運動不足だけでなく、腸内環境も深く関わっていることをご存じですか?
腸と肥満との関係を正しく理解して、太りにくい体を目指しましょう。

人はなぜ太る?

肥満の主な原因は、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣です。食事から摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量を上回ると、余ったエネルギーは脂肪として体内に蓄えられてしまうためです。

中年期以降は基礎代謝の低下も原因に

中年期以降になると、特別食べ過ぎているわけでもないのに体重が増えてしまうことがあります。これは、加齢による基礎代謝量の低下が原因です。この基礎代謝は、男性では18歳ごろ、女性では15歳ごろがピークで、その後は年齢とともに低下していきます。そのため、若いころと同じ量の食事をとっていると太りやすくなってしまうのです。

肥満予防のカギを握る「腸内細菌」

腸内環境が肥満に影響

肥満予防には、もう1つ意識したいことがあります。それは、腸内環境の改善です。
腸内環境は便通や免疫力に大きく影響を与えることが知られていますが、実は肥満とも深い関わりがあります。近年、さまざまな研究により、腸内環境を整えることで肥満が抑えられることがわかってきているのです。

「ある特定の種」の腸内細菌がカギ

人の腸内には約1000種類・100兆個もの細菌がすんでいて、その種類やそれぞれの割合は人によって異なり、食生活によっても変化します。そして、ある特定の種の腸内細菌が肥満を抑制するカギを握っていると考えられています。

短鎖脂肪酸が肥満を抑えるしくみ

日本人を対象とした研究で、肥満の人と痩せている人の腸内細菌の種類を調べた結果、短鎖脂肪酸を作る腸内細菌の割合が、肥満の人の方が明らかに少ないことがわかりました。短鎖脂肪酸は、腸内細菌によって作られる酸(有機酸)の一種です。大腸で消化しにくい難消化性炭水化物(食物繊維、オリゴ糖など)を腸内細菌が分解し、発酵させる過程で産生されます。
では、短鎖脂肪酸は体内でどのような働きをするのでしょうか。

❶ 体脂肪を減らす

短鎖脂肪酸は、脂肪組織に栄養が取り込まれるのを阻止する働きがあるため、脂肪の蓄積が抑えられ、体脂肪が減っていきます。

❷ 代謝を上げる

短鎖脂肪酸は、呼吸や体温をコントロールする交感神経を活性化して心拍数や体温を上昇させるため、基礎代謝を高めます。

❸ 食欲抑制ホルモンの分泌を促す

短鎖脂肪酸がたくさん産生されると、食欲を抑制する「GLP-1」というホルモンの分泌が促され、食べ過ぎを防ぎます。

これ以外にも、短鎖脂肪酸には、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の増殖を抑える、腸粘膜を丈夫にして免疫力を高める、といった作用もあります。肥満予防だけでなく、健康を維持するうえでも大切な役割を担っているのです。

食生活を改善すれば短鎖脂肪酸を増やせる!

多種多様な腸内細菌のうち、短鎖脂肪酸を作り出すのはビフィズス菌に代表される善玉菌や、善玉菌と共生する日和見菌です。これらの腸内細菌がエサとなる食物繊維やオリゴ糖などを食べることで、短鎖脂肪酸は増えます。つまり、腸内環境を善玉菌が優位になるように整えるつつ、エサとなるような食品を積極的にとることが、短鎖脂肪酸を増やして太りにくい体を作ることにつながるのです。

短鎖脂肪酸を増やす食事のポイント

短鎖脂肪酸を増やすには、善玉菌の代表であるビフィズス菌や乳酸菌を摂取すると同時に、善玉菌のエサとなる食品をとることが大切です。さっそく今日から始めてみましょう。

善玉菌を含む食材をとる

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含む食材を摂取することで、腸内が善玉菌優位になり、短鎖脂肪酸が作られやすくなります。善玉菌は、いわゆる発酵食品に豊富に含まれています。

  • ● ビフィズス菌や乳酸菌を含む食材
    ヨーグルト、チーズ、納豆、みそ、ぬか漬け、キムチなど

善玉菌のエサとなる食材をとる

善玉菌が好むエサの筆頭に挙げられるのが食物繊維で、とくに積極的に摂りたいのが水溶性食物繊維です。また、オリゴ糖やレジスタントスターチ(難消化性デンプン)も善玉菌のエサとなります。

  • ● 水溶性食物繊維を含む食材
    もち麦、大麦、根菜類、オクラ、モロヘイヤ、海藻類、アボカド、バナナ、キウイなど
  • ● オリゴ糖を含む食材
    玉ねぎ、にんにく、はちみつ、アスパラガス、甘酒など
  • ● レジスタントスターチを含む食材
    米、大麦、いも類、いんげん豆、シリアルなど